循環器内科
(2024年5月14日更新)
循環器内科とは、内科と違い耳慣れない科と思われる方もいらっしゃるでしょう。
体の中を血液が循環する管及びポンプ、つまりは血管と心臓を扱う科になります。病気としては致命的となる急性心筋梗塞、大動脈解離、肺塞栓や危険な不整脈、慢性疾患としては高血圧症などがあげ得られます。症状としては胸痛、動悸、息切れ、呼吸苦、むくみなどを訴え、受診される方が多いようです。
これら症状のある方を心電図、レントゲン、心エコー、血液検査、CT、心臓カテーテル検査など体の負担が少ない検査から行っていき、診断を行います。必要に応じて薬物療法、カテーテル治療(アブレーションを含む)、ペースメーカ植え込み、電気除細動(電気ショック)等を行います。
代表的な疾患
1.急性心筋梗塞
典型的な症状として激しい胸痛が突如出現、病院に到着されるまでに半数の方が亡くなられるという非常に怖い病気です。
糖尿病、脂質異常症、高血圧症などの生活習慣病、喫煙により冠動脈(心臓を養っている血管)の動脈硬化がおこり、突然血栓(血の塊)で動脈が閉塞、心臓の筋肉が壊死を起こし、心臓破裂、致死的不整脈で急変する可能性があります。
可能であれば発症から3時間以内の早期血流再開が生命維持に有効と考えられており、当院では宇佐市、豊後高田市周辺の診療所、病院、救急隊と連携し緊急搬送後、直ちに心カテーテル検査を施行、風船療法、ステント留置を施行しております(*夜間、休日は不可)。
2.心不全
心臓の働きが不十分な結果、生じた体の状態のことを言います。
高血圧性心疾患、弁膜症、心筋梗塞を基礎心疾患に、多くは風邪、過労、ストレス、薬物の自己中断、高血圧の放置、貧血の出現が誘因となり生じます。主に利尿剤を中心にした内服、注射による薬物治療が行われ、呼吸状態が悪化した場合、人工呼吸が必要になる場合もあります。
3.大動脈解離、大動脈瘤
主には高血圧が原因となり、胸やお腹の大動脈に変化を来すこれらも致命的な病気です。
血管内壁の一部に亀裂が入り、縦方向に解離を起こした状態が、大動脈解離。血管がこぶ状に拡張した状態が大動脈瘤です。大出血を来し心肺停止状態で救急搬送される場合も多々あります。緊急手術が必要と判断された場合、周辺の心臓血管外科のある基幹病院へのドクターヘリでの搬送も行っております。
4.心房細動
外来通院されている中で最も多い不整脈です。
心房がキチンと収縮せずプルプルと震えている状態で、症状としては動悸、ふらつき、息切れ、全身倦怠などの症状を来します。弁膜症など心臓機能が低下している場合もあり心エコーなどによるチェックをお勧めします。また、高齢、高血圧、糖尿病などがありますと血液がドロドロになりやすくなり、血栓から脳梗塞を来す危険性も高くなります。危険度をチェックし、抗凝固剤の投与をお勧めする場合があります。
5.洞不全症候群、房室ブロック
心臓の収縮のリズムが遅くなる病気で、失神、全身倦怠、息切れ、呼吸困難、時に突然死の原因となります。
脈の調整を行う洞結節の働きが落ちてしまうのが洞不全症候群、脈の信号を伝える電線(刺激伝導系と呼ばれます)が心房-心室間で断線したものが、房室ブロックになります。症状があれば、ペースメーカ植え込みの適応となってきます。
6.上室性頻拍
主に心房の筋肉や刺激伝導系の洞結節・房室結節が原因で脈が速くなる病気です。軽症であれば薬物療法で治療します。症状が強く、頻回になってくるようであれば、カテーテルアブレーション(異常な電気の流れ、部位を電気的に焼却する)の可能な施設への紹介を行っております。
7.睡眠時無呼吸症候群
「簡易型睡眠時無呼吸(SAS)検査」は、呼吸や血中の酸素の状態などで測定し睡眠呼吸障害の程度(AHI)を求めることができます。
また、入院で「終夜睡眠ポリグラフィ(PSG)検査」脳波・眼球運動・心電図・筋電図・呼吸曲線・いびき・動脈血酸素飽和度などの生体活動を、一晩にわたって測定する検査も施行可能です。睡眠時無呼吸症候群(SAS)と診断された方は、CPAP(経鼻的持続陽圧呼吸療法)の導入も行っております。
医療連携
宇佐高田医師会病院循環器科では地域の様々な医療機関、救急隊と連携、協力することで、循環器疾患を治療する中核病院としてその機能は役割を十分に果たすことができるよう努めております。
かかりつけドクターから紹介された場合、可能な限り当科にて受け入れ、急性期の専門的治療を行い、病状が安定しましたら、再度近医のかかりつけドクターに転医することを基本としております。また、急患として当院に搬送された方には、退院時にかかりつけドクターを作るようお勧めしております。
まとめ
現在、循環器内科は常勤医師二人ということで、決して十分な循環器救急体制がとれているわけではありませんが、今後も大分大学医学部附属病院など非常勤の先生方の助けを受け、患者さんの医療ニーズに応えるべく、高度な医療を提供していきたいと考えております。
循環器内科 陣林 伯男
循環器科担当医師の紹介
医師名 | 専門医・認定医 |
陣林 伯男 | 副院長/循環器内科部長 日本内科学会総合内科専門医 日本循環器学会認定専門医 |
卯野 明大 | |
加藤 京 | |
近藤 克洋 | (非常勤医師) |
田原 功道 | (非常勤医師) |
伊藤 達郎 | (非常勤医師) |