感染防止体制
(2024年8月7日更新)
医療関連感染防止対策に関する取組み
院では、医療関連感染から患者さんを守るため、病院で働く職員を守るために、感染防止対策を実践しています。また、感染対策向上加算1を算定し、充実した感染防止対策に取り組んでいます。
<主な取り組み>
1.感染管理に係るシステム
院長直属の部門として、感染防止対策室があり、感染防止対策の立案・評価や耐性菌などの検出状況を 監視しています。
1)感染対策委員会
感染防止対策の方針を決定する部門として、各部門の管理者で構成される感染管理対策委員会を設置しています。
2)感染対策チーム、抗菌薬適正使用支援チーム
感染防止対策の実働組織として、医師、看護師、薬剤師、検査技師、管理栄養士からなる感染対策チーム、抗菌薬適正支援チームが活動しています。施設内ラウンドを実施し、感染対策の実施状況を確認しています。また、抗菌薬の使用状況を監視し、適正使用を推進しています。
3)感染防止対策地域連携カンファレンスの開催(4回/年)
感染対策向上加算2、3、外来感染防止対策向上加算を算定する医療機関とカンファレンスを開催し、各施設の取り組み状況を共有しています。連携施設と共に感染防止対策のさらなる向上を目指しています。
2.サーベイランス(感染症の発生状況を調査・集計し、感染症の蔓延と予防に役立てるシステム)
1)耐性菌サーベイランス
MRSA、ESBL(基質特異性拡張型βラクタマーゼ)産生菌、多剤耐性緑膿菌、新型コロナウイルス感染症などのウイルスの検出状況を監視しています。
2)尿道留置カテーテル関連感染サーベイランス
入院中に尿道留置カテーテルを留置した患者さんで、尿路感染がどれくらい発生しているのか調査しています。また、尿路感染防止のために、CDC(米国疾病予防管理センター)が推奨する閉鎖式の尿道留置カテーテルを採用しています。
3)中心静脈カテーテル関連感染サーベイランス
入院中に中心静脈カテーテルを留置した患者さんで、血流感染がどれくらい発生しているのか調査しています。また、血流感染防止のために、CDCが推奨する消毒剤を使用し、マキシマルバリアプリコーション(高度な感染防止対策)を推進しています。
4)手指衛生サーベイランス
手指衛生は、最も基本的で、最も重要な感染防止対策です。当院では、看護師、看護補助者に手指消毒剤(250ml)のマイボトル制を導入し、手指消毒を実施しやすい環境を整え、手指消毒の実施回数が増えるように取り組んでいます。
3.感染防止技術
CDCガイドラインなど科学的根拠に基づいた、感染対策マニュアルを作成しています。ガイドラインの改定や、厚労省通知などにより、マニュアルの変更が必要な場合にはタイムリーに見直し、職員へ周知するよう努めています。
4.教育
1)全職員を対象とした研修会(2回/年)
1年に2回全職員を対象とした研修会を実施し、100%の参加率を目指しています。
2)看護部職員を対象とした各種デバイス等に関連する感染防止対策研修会(希望者のみ)
3)実習生に対する研修会の開催
当院では様々な職種の実習生を受け入れています。そのため、患者さんへの感染防止および 実習生自身の感染防止のため、実習のはじめに標準予防策などの基本的な内容の研修会を実施しています。
4)インフェクションコントロールニュースの発行
不定期に院内ニュースを発行し、職員へ情報を発信しています。
5)近隣の病院・施設・看護学校などでの研修会の開催
ご依頼いただいた施設などに伺い実施しています。また、冬季のインフルエンザなどの流行期に、介護施設などで感染者が多発している場合には、施設に伺って、対策のアドバイスをさせていただいています。
5.ファシリティーマネジメント
1)院内環境の整備
人が良く触れる場所やトイレなど、清潔に保つよう整備しています。
2)廃棄物の適切な処理
廃棄物を適切に分別しなければ、血液体液による曝露事故につながります。また環境対策として、廃棄物の減量に向けた取り組みを実施しています。
6.洗浄・消毒・滅菌
日常使用する器具を、適切に洗浄し、消毒又は滅菌して、器具を介した感染を防止するように努めています。
7.抗菌薬適正使用の推進
特定抗菌薬に対する使用届出制を実施しています。特定抗菌薬を使用する場合、医師はオーダーと共に使用届を電子カルテ上で作成します。長期間の投与がないか、培養検査は実施されているかなど、使用状況を把握しています。
8.職業感染対策
1)針刺し切創体液血液曝露対策
入職時には抗体の有無を確認し、抗体がない場合にはワクチン接種を実施しています。また、曝露前対策として、安全機能付き留置針の使用や、携帯用針廃棄容器の使用など、対策を整備しています。
2)流行性ウイルス疾患感染防止対策(麻疹・風疹・水痘・流行性耳下腺炎)
これらの感染症は、感染力がとても強く、抗体を持っていない人が、罹患している人に接触した場合、発症するリスクが高いものです。入職時に抗体検査を実施し、抗体がない職員に対してはワクチン接種を推進していくなど、職員自身が感染しないため、そして他者に感染させないための対策を推進しています。
3)結核
入職時にはQFT検査を実施し、ベースラインを把握しています。大分県は平成27年度結核の罹患率が全国ワースト4位でした。そのため、結核に対する曝露防止には細心の注意を払っています。
※1 MRSA・・・メチシリン耐性黄色ブドウ球菌。抗生物質に耐性を持っているブドウ球菌 ※2 QFT検査・・・クォンティフェロン検査。結核菌の感染を調べる血液検査