消化器内科
消化器内科は大分大学医学部附属病院 消化器内科学講座関連病院として常勤医2名で頑張っています。内科系の病気はいろいろありますが、主に取り扱う疾患および処置についてご紹介します。
消化管疾患(食道・胃・十二指腸・大腸)
胃癌、胃潰瘍、十二指腸潰瘍の原因となるヘリコバクター・ピロリ菌の除菌療法(保険適応となってから全国で年間130~150万人受けています。)や、また健診で異常を指摘された際の上部や下部消化管内視鏡検査において、希望に応じ鎮静剤(眠たくなる薬剤)を使用して苦痛なく行うよう努力しています。
ピロリ菌除菌療法に関しては、除菌することにより胃癌のリスクを1/3程度に減らすことはできますが、ゼロになるわけではありません。また、除菌後に胃癌が発症することもあり、定期的なフォローアップが必要と考えます。
大腸ポリープの切除は基本的には日帰りで行っていますが、大きなものや複数切除した場合などには1泊2日の入院を勧めることがあります。また、早期胃癌に対しては7~10日間の入院にて内視鏡的切除も行っております。詳しくは担当医にご質問下さい。
また当院は宇佐高田地域で唯一、24時間緊急内視鏡に対応できる体制です。(医師2人で頑張っています!!)
吐血した・黒色便が出た・血便が出たなどの症状は緊急を要する可能性があります。まずは電話でご相談いただき、早急な受診をお願いします。
●左記・内視鏡写真の説明
1.早期胃癌の色素内視鏡像
2.病変周囲のマーキング
3.局注後, 粘膜下剥離
4.一括切除後
胆膵疾患
肝臓で1日600~800mlつくられる胆汁(消化を助けます)は、肝内胆管・総肝管を経て胆嚢に貯められ濃縮されます。食物が胃で消化され、十二指腸に来ると胆嚢は収縮して胆汁が総胆管に流れ、十二指腸乳頭部から排出されます。
黄疸(眼球結膜や全身に)がある方で、CTや超音波検査で総胆管に結石があると診断された場合には、特殊な内視鏡を胆汁の出口である十二指腸乳頭部まで挿入し、胆管造影を行った後、乳頭部の切開またはバルーン拡張を行い、内視鏡下に胆管ステント留置や採石を行っています。胆嚢に結石がある場合は、基本的には外科的に胆嚢摘出術を行います。
急性膵炎についても原因はアルコール、薬剤、外傷、脂質異常、遺伝、特発性など多岐に渡ります。総胆管結石による膵炎の場合は内視鏡下に乳頭部切開およびステント留置や採石などの治療をおこないます。
当院は県北地域で最もこの胆道系内視鏡を行っている施設であります。また外科との連携がしっかりできているため、総胆管結石治療→胆石治療という一連の加療の流れをスムーズに行うことができます。
肝疾患
健康診断で肝機能障害と診断された方は主に以下の流れで診察を行います。
1. 問診にてアルコール摂取の状況や身長・体重、現在内服している薬剤・健康食品・サプリメントなどの摂取状況を聴取。
2. 腹部超音波検査や腹部CT(場合によっては造影剤を注射して行います)にて肝臓および胆嚢、胆管などの画像的評価(胆膵疾患にも共通)。
3. B型肝炎やC型肝炎のスクリーニング検査
アルコール性肝障害、非アルコール性脂肪性肝疾患/脂肪性肝炎、薬剤性肝障害などの生活習慣による肝機能障害では禁酒・減量など生活習慣の見直し、原因と考えられる薬剤の中止または変更にて経過をみることとなります。
B型肝炎やC型肝炎ウイルスに感染していることがわかった場合には、腹部超音波検査や造影剤を用いたCTにて肝臓内の精密検査を行い、肝臓内に癌の所見がなく、肝硬変でも状態によっては抗ウイルス療法の適応です。特にC型肝炎の抗ウイルス療法は日進月歩であり、飲み薬で95%以上の方がウイルス排出を達成できる時代となりました。
ただ、ピロリ菌除菌後の胃癌発生のことについて上述しましたが、治療によってウイルスが体外に排出されても、肝臓癌の発生がゼロになるわけではないので、治療後も定期的な経過観察(腹部超音波検査や造影CT、採血での一般肝機能や腫瘍マーカーなど)が必ず必要です。
当院は大分県が定める肝疾患診療協力医療機関となっております。気になることがあればお気軽にご相談ください。(肝臓癌治療に関しては他院との連携にて加療を行います。)
チーム医療
当科は外科とも緊密に連携をとり(週に1回は外科との合同カンファレンスを行っています)、患者さまに対する最善の解決策を常に模索しています。
また、当科では施術不可能な特殊な治療、および特殊な疾患に対しては、時期を逸せず大分大学医学部附属病院をはじめとする協力医療機関と連携し、患者さんにとってベストな医療を提供することを常に考えて日々診療にあたっております。
以上簡単ではありますが当院の消化器内科を紹介しました。あくまで一般的な話であり、直接お話しした方がよく分かる場合も多々あると考えます。小さな事でも構いませんので気になる症状があれば受診していただければと考えています。よろしくお願いします。
消化器科検査・手術数(2021年~2023年/1月~12月集計)
2021年 | 2022年 | 2023年 | |
*上部内視鏡検査 | 1800 | 1996 | 2065 |
*下部内視鏡検査 | 367 | 436 | 448 |
*内視鏡的逆行性膵胆管造影検査(ERCP) | 110 | 136 | 159 |
※治療内視鏡、検診センター検査分含む
消化器科担当医師の紹介
医師名 | 専門医・認定医 |
岡嶋 智也 | 消化器内科部長 |
濱野 朋恵 |